CS32022 参加報告

CWTS Scientometrics Summer School(CS3)は、オランダのLeiden Universityに属するCentre for Science and Technology Studies(CWTS)が開催する、科学計量学を専攻する博士課程の学生を対象としたサマースクールである。CWTSは科学計量学の世界的トップ組織の一つであり、Leiden RankingsやLeiden Manifestoをはじめとした科学の定量評価に関するさまざまな分析・提言を行っている。コロナ禍の関係で昨年は延期であり、今年は6月20日~7月1日にかけて2年ぶり4回目の開催となった。

当研究室からは三浦崇寛博士課程が参加し、科学計量学のトップ研究者らによる講義の受講・研究発表を通じて国外の研究者との交流をおこなった。


講義全体は、①CWTSの研究者らによる網羅的な科学計量学のイントロダクション、②世界各国から科学計量学以外の科学研究のトップ研究者を招いたセミナー(科学技術社会論・科学社会学・メタ科学・Science of science)、③オープンソースであるICSR Lab, Dimensions.aiを用いた実装練習、④参加者らによる研究紹介の4つのコンテンツを複合して構成されていた。

特にトップ研究者らによる科学計量学の講義では、科学計量学がただ科学に関するデータ(論文・研究者・組織)をエビデンスとして分析を行う学問ではなく、データになっているとは限らないような科学を取り巻くさまざまな事象(心理的なバイアスや論文投稿に至るまでの慣習、研究者活動の記録など)を定性的に理解することと、分析モデルによってその定性的解釈をどれだけ定量化できているのかというモデルへの理解の往復という、より大きな研究スコープを持っていることが説明された。科学計量学の周囲の研究者らとの議論や、実際の分析課題を通じて、科学計量学の持つ広範な世界の一端を垣間見ることができた。


また、三浦博士課程が博士研究で行っている、科学における認知の遅れ(Sleeping Beauty)の第一人者であるLeiden UniversityのAnthony, F.J. van Raan名誉教授と、同じく科学におけるバイアスの研究に取り組むRodrigo Costas博士に1 on 1 meetingを申し込み、これまでの研究結果や今後の研究についての議論をおこなった。科学計量学で40年近いキャリアを持つvan Raan教授との議論は、博士研究に直接活用できるばかりではなく、研究一般に活用できるノウハウや、日本と海外の研究の違いについてなど今後の研究生活を送る上でも大きな参考となった。またCostas博士には、研究についてのアドバイスだけでなく、CWTSで活用されているデータ基盤の様子まで確認させていただき、トップ研究者の研究の様子の一端を知ることができた。

こうしてCS3で学んだ内容は、後日研究室で開かれる全体研究会で共有された。科学計量学の分析への活用だけでなく、これから研究者として研究に取り組む上で、非常に参考になった2週間であった。